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神経についての考察

「腹式呼吸」なる言葉がボイストレーニングではよく聞かれる。簡単にいうと、横隔膜を上下させて肺を広げたり縮めたりする呼吸法を指す。(これに対し、胸郭の上下による呼吸は胸式呼吸と呼ばれる。) しかし、僕は腹式だろうが胸式だろうがそんなのカンケーねえと思っている。息を安定させることは大事かもしれないし、強い息を出せたほうが声にパワーが出るかもしれない。しかし発声や発音でいちばん肝心なのは、のど声にならないことだ。いくら安定したパワフルな息を身につけても、のど声はなんら改善されない。単に、のど声が耳障りにやかましくなるだけの話だ。声の質には変化がないのである。当たり前だろう。声の出し方が変わっていなんだもの。 考えてみると、発声でいう腹式呼吸とか正しい呼吸法とかいったアプローチは、もっと基本的な部分で重大な見落としをしているのではないだろうか? すなわち、「神経」という観点だ。 もちろん、呼吸は空気を肺に出し入れすることには違いない。しかし、発声の観点からはちょっと別の見方が必要になると思う。発声というのは単なる呼吸ではない。息の出し入れそのものよりも、それに伴ってどう空気を振動させるかがポイントなのだ。 単に呼吸だけの話なら、肺というポンプをどう動かして息を出し入れするかを考えれば済む。実に簡単な図式で説明できてしまうだろう。 ところが声を出す場合は、中途で声帯という器官が首を突っ込んでくる。しかも、これがなかなかいうことを聞いてくれない。 声を作った後には口で母音や子音も作らなければならないが、やっかいなことに、声帯を支配する神経(反回神経:迷走神経に属する)と、口回りを支配する神経(三叉神経)はまったく別系統になっている。この異なる系統の神経をうまくコーディネートしないと声は思うように操れないのだ。両者を意識せずに「自然に」声を出そうとすると、何が起こるか。発音をはっきりしようと三叉神経を働かせれば働かせるほど、それが反回神経による発声を妨げるように作用してしまうのである。 神経に関するこういった視点が、これまでのボイストレーニングには欠けていたのではないか、と僕は危惧する。 たいていの指導者は、声や発声のメカニズムを物理的な目でしかとらえていない。だから、声帯の神経と口回りの神経が相互にどう作用しているかを考える視点はいつまでたっても出てこないのだ。 本気で発声に取り組むなら、ほんとうは声帯を操る神経を自分の意識に上らせることから始めなければならない。それが欠けている限り、正しい発声は永遠に手の届かない存在なのである。 だから、呼吸の改善なんかは二の次でもまったく構わないのだ。 「自分はずっと日本語をしゃべってきたから、声帯をうまく使っているはずだ」とあなたは思っているかもしれない。しかし、実は大半の人は声帯本来のポテンシャルのごく一部しか使えていないのである。 なぜかというと、日本語では声帯を操るのに反回神経を意識せず、口回りの神経と同じ神経系統(三叉神経)を使っているからだ(国井仮説。発声を口回りの神経に委ねてしまうこのやり方を、僕は「カナ縛り」と呼んでいる)。これは実に遠回しな発声のやり方である。本来なら、声帯をつかさどる反回神経という神経を通じて直接声帯に働きかければもっと効率よくコントロールできるのだが、残念ながら日本語では口回りの神経のほうが主導権を持つため、間接的にしか反回神経に働きかけていないのだ。 で、反回神経を覚醒させる方法を考えてみた。 ボディビルやストレッチなんかだと、今自分がどの筋肉を鍛えようとしているかをピンポイントで意識することが大事、といわれているらしい。これと同じく、反回神経が自分の体のどのあたりを走っているのかを意識してみてはどうだろうか。 ネットで調べると、反回神経を図示したいろんなグラフィックスが出てくるので、見ておいてほしい。脊髄から出た2本の神経の束が、首に沿っていったん鎖骨の下まで伸びる。そして心臓から出る左右の動脈を前方から回り込むようにかいくぐると、今度は上に方向転換し、再び首の両脇を通って、最後はのどぼとけの奥あたりに達する。参考までに、以前も紹介したYouTubeビデオを挙げておく(https://www.youtube.com/watch?v=XWCpPw63W_k) 反回神経のルートをこのように頭に入れておけば、意識しやすくなるはずだ。これに対し、三叉神経のほうは脳からわりとストレートに口やあご、舌などに伸びているので、特別意識しなくても自然にコントロールできている。 経路を意識したからってどうなるの? という疑問もあるかもしれない。だが僕はこう考える。声帯の周辺を操る反回神経が、口、あご、舌などを操る三叉神経とは別の系統(迷走神経)に属している以上、反回神経の働きを僕たち自身が確認することが大事なのではないか。これまでまったく意識してこなかったこの反回神経にちゃんと注意を払うことで、声帯を直接コントロールする第一歩が踏み出せるのではないか、と。 神経を意識するといっても、筋肉を意識するのと違って、神経をピクピク動かしたりはできない。たぶん神経内に電気を走らせるか否かぐらいの違いだろうし、意識するだけでは単なる気休めにすぎないかもしれない。が、今まであまり使わなかった回路を意識的に使おうとすることは、決して無意味ではないはずだ。思いもよらなかったプラスの効果だって出てこないとは限らない。 とりあえずは、自分の体内に反回神経をマッピングして、そこに脳からの電気刺激を通電させたりオフにしたりしながら声を操る、という意識練習をやってみるとよいと思う。 ここで一つ提案したいことがある。だまされたと思ってやってもらいたいのだが、できれば反回神経の末端を、のどぼとけの後ろではなく、さらに上の鼻の奥あたりまで伸ばしてみてほしい。そこが神経知覚上の(つまり物理的位置とは違った)声帯のありかだ、と僕は考えている。 「鼻腔弁」と僕が名付けているこの場所は、僕自身の体験だけでなく、僕の知っている何人かの声楽家の話からも、声帯と深く関連していることがうかがわれる。ここに何らかの「声帯のツボ」があると思われるのだ。 とすれば、この鼻腔弁の位置と反回神経は何らかのリンクでつながっていなければならない。だから、多少の論理の飛躍は承知の上で、神経知覚上のリアリティと物理的なリアリティのギャップを想像力で埋めてみてほしいのだ。「反回神経の末端は、意識の上では鼻腔弁につながっている」、と。 この点は、英語でいうleap of faith(覚悟を決めて賭けに出ること)というか、一種盲信的なことを皆さんに求めることになるので、剣が峰になることは百も承知だが、ここをクリアできれば新しい声の世界が開けてくるはずなのだ。 声を出そうとするときには、反回神経の経路全体が通電して、たとえば白く発光している様子を想像してみよう。神経内を電気信号が走るだけなので、周囲の筋肉は特に緊張しない。反回神経は心臓近くを通過するので、鼓動のリズムからも多少の影響を受けるかもしれない。脳からの信号が伝わると、末端にある鼻腔弁(神経知覚上の声帯)が閉じ、息を振動させて声を生む。 こうしたイメージを持つことで、反回神経に対する意識が次第に高まる。そうすれば、声帯を意識的にコントロールすることが容易になってくるはずだ。声帯を能動的に動かすリンクとして、反回神経を活性化させることが必要なのである。 僕自身の体験からいうと、鼻腔弁というイメージを作り上げて、そこにつながる神経を探り当てていくプロセスほど面白いものはなかった。成功の保証などなかったし、それこそleap of faithで始めたのだが、どうにか体のほうが言うことを聞いてくれて、「ここにこう刺激を送ってやれば声帯がこう反応するんだな」ということが少しずつ見えてきた。そして今も、声帯との対話によるチューニングを繰り返す日々を過ごしている。 声帯との対話を重ねてきて思うのは、神経という存在の重さだ。この視点がこれまでのボイストレーニングにはまったく欠けていた、と僕は改めて思う。 神経が知覚するリアリティと、物理的なリアリティには、重なる部分もあるけれど、一部はとんでもなく乖離している部分もあるのではないだろうか。声帯はその顕著な一例である。 常識的には、声帯はのどぼとけの後ろにあるのだから、顔やあご、首などを動かすのと同じような感覚で声帯だって自由に動かせるように思いがちだ。しかし実際には、声帯はかなりのきかんぼうで、なかなか思うようにコントロールできない。それは神経系統の違いや、反回神経に対する意識の希薄さ、配線の特異性などによるものだと僕は考えている。一見すると隣合っていて連続的にコントロールできそうな器官が、実はまったく別系統で不連続、という例かもしれない。 声帯というのは、付近の他の器官と連続しているもの、と誰もが思っている。ところが神経の面から見ると、周囲とは不連続きわまりない存在なのだ。このことをしっかりと認識するか否かで、声帯に対するコントロールの効果はまるで違ってくる。 「鼻腔弁」なんて、笑止千万の絵空事、と思う人も多いだろう。だが果たしてその人たちは、声帯を支配する神経の特殊性を認識した上で嘲笑しているのだろうか? 彼らのほうこそ先入観にとらわれている、という面もあるのではないだろうか? さて、話は変わるが、人間が声を出す仕組みにもっとも近い楽器はなんだろうか? 僕は以前はバイオリンかなと思っていたが、最近ではラッパのほうが近いと考えている。 ラッパの機構は単純だ。マウスピースと管、そして先端の先端のベルと呼ばれる広がった部分からなっている。 1. 唇をマウスピースに当てて振動させると、 2. それが管を通って 3. ベルから出ていく時に増幅されて、大きな音になる。 人間の声も、基本はこれと同じ仕組みで出される。 1. 声帯は、マウスピースに押し当てられた唇と同じ働きをする。 2. 出た振動は、のどを通って口腔に達する。 3. 口腔から振動が外に出る間に音が増幅され、大きな声になる。 たったそれだけのことである。 よく「声を頭に響かせろ」なんて教えるボイストレーナーもいるが、そんなのは迷信だと僕は思っている。頭の中ががらんどうならいざしらず、脳ミソや体液なんかがいっぱい詰まった頭が音を響かせられるはずがないのだ。ウソだと思ったらスイカを指ではじいてみるといい。せいぜいボンという鈍い音がするだけで、スカッと響きわたるような音なんか出ないのだ。あるいは、音叉をはじいてその根元を頭の上に乗っけてみるといい。頭が共鳴して大きな音に増幅されたりは決してしないのだ。 話を元に戻そう。 声がラッパの原理で出ているなら、ちゃんとした声を出す方法は自明だ。 1. 声帯をしっかり振動させる。 2. 出た振動を遮らずに口腔に伝える。 3. 振動が最もうまく増幅されるような口の形を作る。 以上である。 これをうまく実践できればもう何も言うことはない。ただ現実には、そうした理想形への到達を妨げがちな要因がいくつかある。それを突き止め、意識的に改善してやることが必要なのだ。 自然な発声を阻害する要因を、ステップごとに挙げてみよう。 1. 声帯の振動を妨げる要因 声帯をコントロールする神経(半回神経)についての認識不足 2. 声帯から出た振動を口腔に伝えることを阻害する要因 披裂喉頭蓋ヒダの干渉(いわゆるノド声) 3. 声を増幅するような口の形を阻害する要因 発音のクセ(発音する際の舌や唇の形が口内スペースを必要以上にふさいでしまう) まず、声帯をしっかり振動させることから始めよう。 ほとんどのボイストレーニングの問題点は、声帯をコントロールする筋肉や腱や骨ばかり気にして、声帯に作用する神経についてはまるで神経が行き届いていない、という点である。 本当は、神経の重要性はいくら強調してもしたりないくらいなのだ。 声帯(発声)をつかさどっている神経は、半回神経と呼ばれ、元をただせば迷走神経という部類の脳神経である。これに対し、発音にかかわる口や舌、あご、唇などを動かす神経は、主に三叉神経と呼ばれる別系統の脳神経なのだ。つまり、発声と発音は別系統の脳神経でコントロールされている。ところが、僕たちはそれを十分認識していないことが多い。それが発声を難しくしている大きな要因だ、というのが僕の持論である。 僕たちはともすると、発音と発声をいっしょくたに考えがちだ。発音をはっきりしたいときは口やあごをしっかり動かすが、その延長で、のどを操ることで声をコントロールしようとしてしまう。ところが、上述したとおり口やあごを動かす神経と声帯の神経はまるで別系統なので、声帯だけはうまくいうことを聞いてくれない、という事態になる。まがりなりに声は出るが、どうも高い声が出にくかったり、声がだみ声みたいになったり、思うようにコントロールできない、というケースが多いのだ。 僕たちはふつう、声帯はのどにあると思っているし、実際物理的にはそうなのだが、声帯を動かす神経(半回神経)の立場から見ると、ちょっと様子が違ってくる。どうも声帯は「鼻の奥にある」と意識してやらないと、うまくコントロールできないような配線になっているようなのだ。口やあごや舌をつかさどる三叉神経の感覚からいけば、声帯はのどの位置になければならないのだが、実際に声帯を動かすのはこれとは違った系統の迷走神経に属している。しかもこの半回神経というやつは、いったん脳から心臓近くまで下がった後にUターン(半回)して首のあたりに戻ってくる、という奇妙な経路をたどる。 おそらくこの命令系統の違いや神経配置の特異性に起因して、声帯の物理的な位置と神経知覚上の位置がずれてしまっているのではないか。これこそが、僕がおそらく世界で初めて提唱した国井仮説のエッセンスである。 この位置覚のずれがあるせいで、声帯は「鼻の奥付近にある」と意識しないとうまくコントロールできない。僕はこのことを自ら人体実験で幾度となく確認し、仮説への自信を深めるとともに、より精度の高いコントロールを得るためのチューニングを進めてきた。 そして、神経知覚上の声帯の位置を「3D鼻腔弁モデル」という形で提示した。 このモデルに沿って声帯をぴったりとくっつけ合うことで、声帯をしっかり鳴らすことができることを、少なくとも僕は実地で確認してきた。 声帯のしかるべき振動を妨げる要因は、神経にあったのだ。 次に、この振動の口腔への伝達を阻害する要因について触れたい。 伝達が阻害された状態は、ラッパで言えば、マウスピースとベルをつなぐ細い管に異物が詰まったような状態のことである。 人間の発声器官でいうと、声帯のすぐ上にある披裂喉頭蓋ヒダという部位が、声の通り道を塞ぐように出張ってくる現象がそれにあたる。日本人には、この形で声を出している人がかなり多いように見受けられる。のどに力が入ったまま発声しているように聞こえるのだ。日本語をしゃべるときは、こうしたのど声のほうがノーマルだと受け取られているように僕には思える。明石家さんまを始めとする芸人のダミ声を思い出していただければ、ピンとくるのではないだろうか。 こうした「悪さ」を働く披裂喉頭蓋ヒダのことを、僕は声帯もどき、あるいは遮蔽膜とも呼んでいる。のどで声をコントロールしようとすると出張ってくるのがこのヒダなので、声帯に似て非なるものという意味で声帯もどき。あるいは、声帯の振動を口腔に伝えるのを邪魔する膜なので遮蔽膜。いずれにしても、このヒダには引っ込んでいてもらったほうが、自然でのびやかな声が出ることは間違いない。(吉本興業のオーディションでは「おもろない声や」といって落とされるかもしれないが。) では、どうすればこのヒダを手なずけられるか。 のどで声を操ろうとすると、このヒダが出しゃばってくる。だから、おそらくこれは三叉神経のほうの問題だろう。だから、のどに力を入れないよう意識することが第一だ。 もう1つ、たぶん反回神経の側でもこのヒダに何らかの影響力を及ぼすと考えられるので、上述した「3D鼻腔弁モデル」で示したように、披裂喉頭蓋ヒダが引っ込んだ状態になるよう、コントロールを試みる必要がある。 ちょっと面倒なのは、披裂喉頭蓋ヒダの位置がちょうど三叉神経の管轄と反回神経の管轄が交差する部分にあると思われる点だ。したがってコントロールの仕方がややこしい。発音と発声の両サイドから披裂喉頭蓋ヒダを抑え込む必要があるのだ。 発声サイドでは、2重リングで構成される「3D鼻腔弁モデル」の外側リングに意識を集め、遮蔽膜がなるべくリング内に入ってこないように努めよう。同時に発音サイドからも、のどの力を抜くようにする。別の見方をするなら、この外側リング(披裂喉頭蓋ヒダ)は鼻腔弁とのどの両方に同時に存在している、と考えてもよいだろう(「シュレジンガーの猫」みたいに)。だとすると、反回神経と三叉神経のどちらの神経を意識するかによって、外側リングの居場所は異なるのだ。 そこで注目したいのは、披裂喉頭蓋ヒダのコントロールに伴って、反回神経から三叉神経へのバトンタッチが起きる、という点だ。 これはすなわち、発声から発音へのバトンタッチを意味する。これがスムーズにできるかどうかが、自然な発声と発音の成否に大きく関係してくるのだ。異なる神経系統間での動作の受け渡しは、容易ではない。二系統の神経そのものはつながっていないので、動作は不連続となりがちだ。片方は鼻の奥で、もう片方はのどである。物理的に見てつながりはありえない、という先入観も抱きがちだ。そこで、両神経系統が呼吸を合わせて動作を調節する作業が不可欠となる。うまくつなげるためには、鼻腔弁を通り抜けた振動(声)が、口の奥に瞬間移動するように意識するとよい。この息の流れは、常識的には不連続だが、神経知覚上は連続しているのだ。この不思議な感覚をマスターできれば、発声と発音がシームレスにつながって、より声の自由度が高まるのである。切れ目のない声を出す決め手は、「物理的な不連続」を「神経感覚上の連続」に変換するプロセスなのだ。(これも国井の前代未聞の発見としておこう。) 最後は、口腔内の要素が声の増幅を妨げていないか確認し、もし妨げていれば口内のフォームを変えることである。 言葉を発音する際には、母音も子音もある程度息(声)の流れを妨げることになるが、これを過剰に、あるいは不必要に妨げないようにすることが大切だ。 母音の場合、舌の位置がかなり重要だ。特に、舌の奥が盛り上がっていると、のどから出る息の流れが妨げられ、ラッパでいえば弱音器を付けたようになってしまう。舌を低く保ち、口の中にラッパのベル部分のような広がりを作るよう努力しながら、同時に母音をはっきり発音する方法を探ろう。(のど声の人は、声を出そうとすると舌の奥が盛り上がってしまう。これを解消するよう工夫してほしい) ラッパが大きな音を奏でる秘密は、ベル部分の広がりにある。なのでその形を模倣しさえすれば、声を音響的に増幅することができるのだ。母音の違いを発音し分けるときも、口の中を不必要に狭めてしまわないように気を付けよう。 鼻腔弁モデルをマスターしていれば、発声時にのどに力が入ることはない。しかし、母音や子音を明瞭にしようとするとついのどに力が入るので、そこが最大の注意点だ。自分がこれまで持っていた母音と子音の先入観はきっぱりと捨て去る覚悟で臨んでほしい。 最後に子音について補足しておこう。 子音を発音する位置はそれぞれ多少異なるが、基本的に母音よりも外側(口の前側)で発音することに変わりはない。つまり、発声によって出た声の振動が口腔内で母音を形成した後に、子音が加わることになる。 英語の場合、ほとんどの子音は上あごの高さで作られる。前後の位置でいうと、前歯付近で作られる子音が大半を占め、例外的に硬口蓋の奥付近でgやkが、軟口蓋付近でhが作られる、といった感じだ。 前にも述べたが、thは英語の子音の中でも特徴的で、他のヨーロッパ言語には(北欧を除けば)あまりない。しかも、the, this, that, these, those, … Continue reading

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