Monthly Archives: January 2015

「ハナみち」の入り口と出口

ハナみちの入り口(口蓋帆)をリラックスさせる方法については前回説明したので、皆さんもすでにこれを弛緩させる方法は身に付けたものと仮定して話を進めよう。

皆さんがそこまでたどりついただけでも大きな収穫なのだが、実はその先にさらに重要なポイントが待ち受けている。

「ハナみち」は正式には上咽頭あるいは鼻咽腔などと呼ばれ、口蓋帆から鼻の付け根に向かうパイプ状のスペースを指す。簡単にいうと口腔と鼻腔をつなぐ通路だ。

その入り口にあたるのが口蓋帆で、ここはすでにご承知のとおり、息の通り具合を調節するバルブのような役割を果たす。日本語はこの部分をほとんど閉じたような状態で話すのが普通だが、英語を英語らしくしゃべるときはここを開いたままにしておくのが基本だ。ここまでは前回述べたとおりである。

さて、ハナみちに入った息は、その後しばらく前に進んでから鼻腔に入り、最終的には鼻の穴から出て行く。そこで質問だが、自分のハナみちと鼻腔の境目がどこにあるか、あなたは認識できるだろうか? おそらく考えたことすらない人が多いに違いない。しかし実は、このハナみちの出口(ハナみちと鼻腔の境)を自分で把握できるかどうかが、あなたの発音と発声にさらに重大な変化をもたらすのである。

なぜならこの「ハナみちの出口」こそが、英語的な発音・発声の決定打を生むからだ。

この「声をめぐるエッセイ」を書き始めてほぼ1年になるが、その間に僕は何度も「第二の声帯」あるいは「発声ポイント」とでもいうべきものが存在する、と書いてきた。そしてその場所は鼻の付け根あたりではないか、と推測してきた。

僕が実体験から存在を直感していたこの第二の声帯が、今ようやくその正体を現した。この「ハナみちの出口」こそが、第二の声帯だったのである。この箇所さえうまくコントロールできれば、英語の母音も子音も自由自在に操ることができる。この場所が、いわば英語の発音・発声の中枢なのだ。

この「ハナみちの出口」(とりあえずそう呼んでおくが、そのうちもっと気の利いた名前をつけるつもりだ)は、口蓋帆と同様に自分で意識的に開閉できる。次のような実験をしてみれば一目瞭然だろう。

まずは口を閉じて、普通に鼻で息を吸ったり吐いたりしてみよう。口蓋帆は常時リラックスさせておく。その状態で、鼻を通る息をブロックするように鼻の奥を狭めてみる。詰まった鼻で息を吸ったり吐いたりするときのように、息のパイプを閉じられる箇所があるはずだ。その位置は、前回開閉の仕方を覚えた口蓋帆よりもずっと前方にあることがおわかりだろうか?

そこがハナみちの出口なのである。

鼻で息を吐きながらクンクンいうときに鼻の奥が狭まったり開いたりするが、それと同じ場所、といえばわかりやすいだろうか。

ここをバルブないし弁として使って息をコントロールすることで、英語のほぼあらゆる音をうまく操ることが可能になるのだ(それについては次回以降に譲ることにする)。ただしその前提条件として、口蓋帆をリラックスさせ、ハナみちの入り口を開いたままにしておくことが必要だ。日本語を話すときのようにハナみちの入り口が狭く閉じられていると、ハナみちの中まで十分に息が到達せず、出口で効果的な息のコントロールができなくなってしまうからだ。

宿題として、次回までにハナみちの出口のありかをしっかりと自分で意識できるようにしておいてほしい。

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な お、このブログで公開しているメソッドは僕が苦心してたどりついた知的財産なので、無断借用はしないようお願いしたい(もちろん個人で発音改善などに利用 される分には大いに歓迎するが)。以前僕が別のブログで音読について綴ったことを黙って本に盗用した人がいて、遺憾に思ったのでひと言。また、紹介してい ただく際には必ずクレジットを入れることをお願いしたい。

「ハナみち」の開き方

今回は、「ハナみち」を開く方法について考えてみよう。

ハナみちとは、要するに息が口から鼻へ向かう通り道のことだ。

鏡を見ながら口を開け、奥をのぞき込んで見ると、口蓋垂(のどちんこ)とこれを吊り下げている口蓋帆と呼ばれる膜の後ろに、このハナみちが隠れている。日の当たらないこのスペースを、医学では「上咽頭」というらしいが、それだと一般人にはまったくぴんと来ないので、僕が勝手にわかりやすい呼び名を付けた。

ハナみちの入り口部分は、閉じたり開いたりできる。その際に使われるのが、先に述べた口蓋帆だ(舌の背の部分も併用されることがある)。

試しに口を大きく開けてみよう。そして、鼻から息が出ないように口だけでハーッと息を吐いてみる。(もし舌の背の部分がせり上がって口の奥を狭めていたら、舌をリラックスさせて下げ、息の出口を広げておこう。)舌がせり上がっていないのに鼻にまったく息が通らず、口だけで息を吐いている状態が作れたら、口蓋帆がハナみちを塞いでいると思ってよい。この状態を記憶しておこう。

さて、今度はこの口の状態をあまり変えずに、鼻からも息を出してみよう。そのとき口内のどの筋肉がどう変化するかを注意してほしい。

ハナみちを塞いでいる口蓋帆が緩んで、息がハナみちに通っていく感じが体験できるはずだ。

こうしてハナみちの開閉をくり返してみれば、口蓋帆が口のどのあたりにあるかを実感できるだろう。

そしてやがては、口蓋帆を意識的にコントロールすることも可能になってくる。多少時間はかかるかもしれないが、この訓練はやっておいて損はない。というか、ぜひやっておいてほしい。

なぜかというと、前にも述べたが日本語はハナみちを塞ぐように発音するのがデフォルト(基本形)なのに対し、英語ではハナみちを開いたまま発音するのがデフォルトだからだ。その違いを再現できないと、日本語と英語の発音の差がうまく出てこないのである(国井の経験則)。

僕たち日本人は、日本語であれ外国語であれ、はっきり発音しようとするとついデフォルトのハナみちを塞いだ発音になりがちだ。だからいわゆるカタカナ発音になってしまうのである。これが「カナ縛り」だ。日本語と似た系列の外国語ならば問題は少ないのだが、あいにく英語の場合は日本語と比べてあまりに声の違いが大きいので、こうしたカタカナ発音のままだと弊害が起きる。

さて、口蓋帆に戻ろう。口蓋帆をうまくリラックスさせると、息は自然に口と鼻の両方を通るようになる。この状態が英語発音ならびに英語発声のデフォルト状態だと思ってほしい。

口蓋帆が緊張すると、ハナみちが塞がれてしまう。日本語を発音する場合は、口蓋帆は常時緊張した状態にあり、ハナみちはほとんど閉じられたままになる。この緊張状態が、日本語においては「ノーマル」ととらえられている。つまり、僕たちはそれが当たり前だと思っている。ところが英語においては、このハナみちを閉じた発音の響きがなんだか固くて異質なものに聞こえるのである。

英語を発音する場合は、口蓋帆を緊張させずにハナみちに息を通してやるのがノーマルな状態なのだ。この違いを体感できるまで訓練を積めば、あなたの英語発音にはきっとブレークスルーが訪れるはずである。

それにはある程度時間がかかるかもしれない。子どもの頃から慣れ親しんだカナ縛り発声は、日本人のアイデンティティとも密接につながっているので、これを解くのは容易ではないのである。はっきり発音しようとすればするほど逆効果になるので、自分の本能に逆らって口蓋帆をリラックスさせなければならないのだ。だからこそ、意識革命が絶対に必要となる。

今日は口蓋帆をリラックスさせる方法について述べたが、さらに大事なポイントが2、3ある(ハナみちの入り口の大きさ、出口の大きさ、鼻腔内の息の流れなど)。それをしっかり把握しておかないと、まだ本当に納得のいく英語発音には到達できないのだが、これは次回以降に回すことにしよう。

とりあえずは、目をつぶっていても自分の口蓋帆が今どこにあるか意識できるように訓練しておいてほしい。そして、口蓋帆を意識的に操ってハナみちを閉じたり開いたりできるようになることを、当面の目標にしよう。その際に、舌の背で口の奥を塞いでしまわないよう注意してね。

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なお、このブログで公開しているメソッドは僕が苦心してたどりついた知的財産なので、無断借用はしないようお願いしたい(もちろん個人で発音改善などに利用 される分には大いに歓迎するが)。以前僕が別のブログで音読について綴ったことを黙って本に盗用した人がいて、遺憾に思ったのでひと言。また、紹介していただく際には必ずクレジットを入れることをお願いしたい。

 

発想の転換=「発声の転換」

英語を英語らしく聞かせるには、ちょっとした発想の転換、というか「発声の転換」が必要だ。

ところが、そのことに気づいている日本人は驚くほど少ない。しかも、実際にやってみせることのできる人に至っては、今のところ限りなくゼロパーセントに近い。いるにはいるが、割合としてはきわめてまれなのだ。しかも、自分でやってみせられる人の中でも、発声の違いをうまく他人に説明できる人はさらに少ない。要するに彼らは、個人芸の世界から脱却できていないのである。ほんとはこういう人たちこそ、もっと真剣に発声のノウハウを他の日本人とシェアできるよう研さんを積むべきなのだが…。そんなことを言っていても、ただでマジックの手の内を明かす人は誰も出てこないだろうから、じゃあ僕がやろうと決心したわけだ。

なぜ日本人は英語の発音が苦手なのか。答は簡単だ。ほとんどの人は、日本語のスタンダードな発声に縛られて、そこから脱却できずにいるからである。このおそろしく強力な呪縛のことを、ぼくは「カナ縛り」と名付けている。日本語のカナを頭に浮かべただけで、僕たちの発声が自然と日本語風になってしまう、という現象を表現したものである。

では、日本語のスタンダードな発声と、英語のスタンダードな発声はどう違うのか。

ひとことで言えば、違いは「ハナみち」の開き具合の差なのである。(ハナみちについては前回を読み返してほしい。)

この違いを頭と身体で実感しない限り、ほんとうに英語らしい声はあなたのものにはならないだろう。

逆に、この違いさえしっかりつかんでしまえば、英語の声はおもしろいほど簡単に再現できる。

「日本人は英語の発音が下手だ」というのは間違いで、正しくは「日本人は英語の声の出し方を知らない」というだけなのである。英語の声の出し方をマスターすると、英語の発音はいやでもよくなるのだ。日本人は単にその努力をいつまでもいつまでも怠り続けてきたのである。声の違いを深く探ろうともせず、実践に移そうともしてこなかったのだから、発音がうまくなるはずがない。単に上っ面だけのものまね発音を競い合ってきただけなのである。要するに、皆さんは(というか僕たちは皆)これまであまりにも怠慢だったのだ。

残念ながら、このことを理解し実践もできる指導者は、これまで日本には(そしてたぶん欧米にも)ほとんどいなかった。そもそも発声に目を向ける英語指導者が少なかったし、たとえ発声に着目した人がいても、その人たちの理解ははなはだ怪しいものだった。禅問答のように難解で、しかも的外れな発声指導が横行していたのだ。自分でろくに検証すらせずに、やれ腹式呼吸だ、やれ息の強さだ、やれのど発声だなどと、見当違いな思いつきを永遠の真実であるかの如くに説く人たちが多いのは、実に嘆かわしい事態である。結局彼らは多くの真剣な学習者に時間と労力の無駄を強いてきたに過ぎず、うまく発音できない学習者を大量に生産してきた。その罪は、きわめて重いといわざるをえない。

もう僕たちは意識改革すべき時期に来ている。

まずは英語の発声を理解し、マスターすることに照準を合わせよう。英語と日本語ではそもそも歩んできた歴史が違う。英語は英語的な声にうまく乗って響くように発展してきたし、日本語もまたしかりである。ある言語本来の声を追求するのは、言葉を学ぶ王道でもあるのだ。そうしたルーツを踏まえて声から言葉を探究していけば、発音は必ずよくなるはずだし、言語そのものへの理解も深まるに違いない。それこそ外国語を学ぶ上でもっとも重要なポイントではないだろうか?

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