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英語の「ハナみち」
「英語らしい声」を出すには、どうすればいいんだろうか。 その1つの答が、以前紹介した「国井モデル」だが、このほどそれをさらにシンプル化するコンセプトを考え出した(ずいぶんブログを更新していなかったが、その間にもいろいろ試行錯誤していたのだ)。 これを「国井モデル2号」と呼ぶことにする。基本的な原理は変わらないが、国井モデル2号はアプローチがちょっと違っている。国井モデル1号が経験測から導かれた感性的なものだったのに対し、国井モデル2号はあくまで物理的・合理的な観点に立って構築されている。 出発点となるのは、僕が以前から主張している次の概念だ。 すなわち、「英語の声は鼻からも出す」という考え方である。 これを検証するため、僕は自ら何百本となく朗読音声を録音して公開してきたし、特に最近の録音ではそこそこの水準に達していると思われるので、鼻を使うというコンセプトが間違っていないことは曲がりなりにも証明済みと考えている。 問題は、これをどう説明すれば誰にでも再現できるようになるか、だ。 で、こう考えた。なるべくシンプルにしようと。 そして、ポイントをたった1つに絞ってみた。 そのキーワードは、「ハナみち」。 「ハナ」はもちろん鼻のことだ。 「ハナみち」とは、吐く息がのどから口の奥を通って、鼻に出て行くときの通り道を指すと思ってほしい。特に、口から鼻への出入り口のことを「ハナみち」と呼ぶことにしたい。 「ハナみち」を重視する理由はこうだ。 そもそも鼻も使って声を出すには、鼻に息が通らなければ話にならない。ところが、日本語ではあまり鼻に息を通さないのが普通なので、よほど意識しないと鼻への通路が狭いままになってしまう。 というか、鼻への通路(ハナみち)の存在自体、僕たちはふだんあまり意識していないのだ。 だから、ハナみちはどこにあるんだろう、と考えてもすぐには答が浮かばない人も多いに違いない。 なので、まずはハナみちの位置をはっきり自覚することから始めてほしい。 口を開けて鏡を見てみよう。奥にはのどちんこ(口蓋垂)が見えるはずだ。その付け根から左右にアーチ状のひだが見えるだろう。これが口蓋帆という膜だ。 そしてこの口蓋帆の裏側に、鼻へと通じる通路が隠れている。 この通路は口蓋帆の裏にあって、鼻先へ向かうにつれて左右に分かれ、2本のストローのような管になる。 今意識してほしい「ハナみち」というのは、その入り口の部分だ。口蓋帆の裏に隠れている、鼻に通じるゲートウェイの部分である。 ここであるヒミツをお教えしよう。実はこの「ハナみち」は、訓練すれば自分で意識的に広げたり狭めたりできるようになるのだ。 そんなこと知ってるさ、などと早とちりしないでほしい。もちろん、鼻から息を出さずに口だけで息を吐こうとすれば、口蓋帆は自然とハナみちを塞ぐことになるので、ハナみちの開閉は誰だってできる、と思われがちだ。しかし僕が重視しているのは、開け閉めの程度を意図的に調節すること、そして特に、日本語では考えられないほど広く開けることなのである。 オールオアナッシングで開けるか塞ぐかだけなら、確かにだれでもできる。しかし、ハナみちの開き加減を自在にコントロールすることは、ふだん日本語しかしゃべっていない人にはなかなかできないはずだ。なぜなら、ハナみちの開き具合を調節するというパラメーター(変数)が、日本語では狭めに固定されているからだ。(これを僕はカナ縛りと呼んでいる。) 逆に英語の場合は、このパラメーターが広めに固定される傾向が強い。概してハナみちを広げたまましゃべるのが英語の特徴なのだ。その開き具合は、僕たちが想像するよりはるかに広い。僕たちが英語国民の話す日本語に違和感を持つのは、一部にはその影響もある。たぶん英語国民のほうでも、実はハナみちの開きの違いに気づいていないのでうまく日本語をまねできない、という事情があるんだろう。 ともあれ、僕たちが英語をそれらしい声でしゃべるには、ハナみちを思い切ってひろげたまま話すことが早道であり、大切なのだ。 「ハナみちを意識し、ハナみちを開く」。 英語らしい声を出す国井流のヒケツは、まさにこれなのだ。 どうだろう、国井モデル2号って、ずいぶん簡単でしょ? もちろん、簡単なだけに補足すべき事項も多いんだけどね。 この先のロードマップとしては、 ハナみちを開くためのテクニック、 母音・子音とハナみちの開きの関係 などを解説する必要があるが、それはまたおいおい説明するとして、とりあえずは、ハナみちの場所を寝ても覚めても意識できるようにしておこう。それをきっかけに、あなたの英語人生に大ブレークスルーが訪れる…かもね。 英語音読 な お、このブログで公開しているメソッドは僕が苦心してたどりついた知的財産なので、無断借用はしないようお願いしたい(もちろん個人で発音改善などに利用 される分には大いに歓迎するが)。以前僕が別のブログで音読について綴ったことを黙って本に盗用した人がいて、遺憾に思ったのでひと言。
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